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【レポート】北欧ノルウェーからも!総勢12名のフィルムメーカーが登場! 6/9 表参道ヒルズSpace O会場
真夏のように暑い日は、ショートフィルム三昧がうってつけ!
本日も、フランス映画祭(今月末、横浜で開催)から集まった「フランス映画祭2018〜短編作品集」をはじめ、充実のプログラムが盛りだくさん!映画祭恒例のQ&Aセッションには、監督はもちろん、脚本家や撮影監督、コーディネイターなど多彩なメンバーが参加してくれました。
「ノンフィクションプログラム3」
米国アカデミー賞のノミネート作品なども上映された同プログラムには、長野県小布施町のドキュメンタリー『おぶせびと』の制作陣が登場!
タガワカズヒト監督の作風は、ドキュメンタリーであるにも関わらず、美しいカット割りなど緻密に計算された映画的演出をするところ。おかげで、長回しをして無駄なショットを撮ることも、編集に膨大な時間がかけることもない効率的なスタイルで撮影できたといいます。プロダクションコーディネーターの岡本俊太郎さんも「潤沢ではない予算の中で、大変助かった」と喜んでいました。
小布施町ののどかな空気感をふんわりと伝えてくれる音楽は、ギタリスト・コンポーザーの成川正憲さんによるもの。天候の関係で現地を訪れることができなかったため、純粋に映像の情報だけを頼りに音作りに励み、自分で演奏しながら鳥肌が立っていくレベルにまで高めていったといいます。長年、仕事をともにしているタガワ監督も、「何も言わずに映像を渡すだけで、想像以上のものをつくってくれる」と厚い信頼を寄せていました。
「Shibuya Diversity プログラム」
パートナーシップ条例など、多様性の問題に積極的に取り組む渋谷区と手を組んだ同プログラムには、2作品からゲストチームが登場してくれました。
“割れやすいたまご”の頭を持つ少年が主人公のアニメーション『たまご少年の恋』。ユニークな発想の本作は、ノルウェーとガーナ人のハーフのイラストレーターであるリサ・アイサトさんの絵本が原作になっているそうです。
Kristin Ulseth監督兼プロデューサーは、できる限り原作の世界観に忠実に映像化しつつも、どうしても変更しなければならないポイントがいくつかあったといいます。そのひとつが、絵本では第三者がストーリーテーラーとなる構成を、主人公目線に置き換えること。そのこだわりが、観る者と主人公を一体化させるような、映画体験をもたらしてくれます。
もうひとつの変更ポイントは、動きをつけたときのイラストのバランスを調整すること。主人公の大きすぎるたまご型の頭を、原作のバランスのままアニメーションに変換してしまうと、動きが不自然になってしまうため、苦労して何度も調整したといいます。
想像もつかないような緻密な作業が積み重ねられた本作は、監督の母国であるノルウェーとポルトガルの共同制作で約50名のスタッフが2年もの歳月をかけて完成させたそうです。
続いての作品は、カナダから届いた『ぼくとわたしの聖なる秘密』。ヒジャブをかぶったイスラム教徒の移民女性を見て不思議に思った少年が、大人では聞けない率直な質問を投げかけていく、まさにダイバーシティな作品です。
Mario Morin監督は、移民問題などで世界に拡大する偏見へと思いを巡らせる中で、ピュアな子供の目線を通じて、差別の問題を根本から捉え直してみたいと考えたそうです。
プロデューサーのLinda Ehretさんや、撮影監督のGreg Nicodさんも登場し、自然光での撮影の難しさや、子役のオーディションの過程など、作品作りのさまざまな苦労について語ってくれました。チームワークの良さを感じさせる、三人の掛け合いトークもあり、Q&Aセッションは大いに盛り上がりました。
「戦争と生きる力 Supported by 赤十字 2」
異なる歴史や宗教を持つ国々から、戦争にまつわる作品を集めた同プログラム。単純な善悪やイデオロギーでは捉えきれない、戦争への新たな視点を提示してくれます。
『1945年3月、東京』は、東京大空襲がもたらした惨劇を、一人の主人公に焦点を当てて描いたアニメーション。30代である田中淳監督は、自身が戦争から遠く離れた世代だからこそ、長年このテーマに興味があったといいます。実写とCG、両方の制作に携わってきた監督のバッググラウンドが、セリフを一切使わずに主人公の内面を描き切る映像の力を生み出していました。
『1マスの前進』は、イラク戦争のトラウマを抱える元兵士が、ひょんなことから、ニューヨークでイラク人が経営するチェスショップに来店し、ささやかな交流が始まる物語。
Jad Andari監督は元兵士、脚本家のBobby Yousifさんの家族も従軍経験があるということからも、戦争のトラウマという問題がアメリカ人にとってどれだけ身近で切実なテーマであるかを伺い知ることができます。
舞台となったチェスショップは、実在するお店だそうで、店主は二人の兄貴的存在。ここでの交流が、トラウマを抱える兵士ではなく、それを癒す側の存在に焦点を当てた、新しい発想の作品をつくるきっかけになったそうです。
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いかがでしたか?
Q&Aセッションでは、ノルウェーのKristin Ulseth監督兼プロデューサーが、会場の皆さんを打ち上げに誘ってくれるというサプライズも!
そんな思いがけないチャンスがあるのも、国際映画祭の魅力のひとつ。あなたも、素敵なショートフィルムやフィルムメーカーとの出会いを楽しみに、会場まで足を運んでみては?
Written and photo by チバアキフミ