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【レポート】SSFF & ASIAプロデュース『シェイクスピア・イン・トーキョー』も上映!6/16 ラフォーレ原宿会場
本日は、オフィシャルコンペティション部門に加え、SSFF & ASIA プロデュース『シェイクスピア・イン・トーキョー』のプレミア上映など見所満載のプログラム。国内外の個性豊かなフィルムメーカーが参加してくれた、Q&Aセッションの模様をお届けします。
「CGアニメーションプログラム 1」
砂漠を彷徨う主人公の老ラクダが、旅の果てに選択する答えとは?「人生で本当に大切なものは何か」を、観る者に問いかける台湾発ファンタジーアニメーション『彷徨った先に』。
Yao Chiang監督の父親がアルツハイマーになったことがきっかけで制作されたという本作品。登場人物のラクダもその目から見える世界も、アルツハイマーになった人間の妄想として描かれているそうです。巻き上がる砂埃や、壊れた砂時計のモチーフが、時空感覚がゆがんだアルツハイマー患者の脳内を表現しています。
Yiju Chiangプロデューサーと、 Yao Chiang監督。シャイな監督は、登壇の最後に“Thank you for watch my film”と挨拶してくれました。
1本の綱を渡る、2本の足、そして、一匹の雀。わずか3つのモチーフで、ロシアの歴史や一人の人間の人生を想像させる、アニメーションの可能性がつまった『コトリのさえずり』。
旅を誘う雀の存在は、実制作の段階で第三者の視点の必要性に気づき導入したそうです。エンドロールに、約100名のアーティスト、アニメーター、ロシアのシンフォニーが名を連ねる大作は、 アイデアを練り上げるまでに3年、実制作に1年間かかったとのこと。
「アジア インターナショナル&ジャパン プログラム 9」
妻に離婚を突きつけられた男と、夫から逃れようとする女。傷ついた二人が、高速のパーキングエリアで出会い、夜をともにする『痣』。
絶望の闇に小さな希望の火が灯るような本作品は、井上博貴監督が10年前に書きためたシナリオを、現在の感覚で見直して完成させたそう。出演者の加藤理恵さんは、「見た方が一歩踏み出すきっかけになる作品になれば嬉しいです」とコメントをくれました。
左から、司会のDJ JOHN、『痣』の井上博貴監督、出演者の加藤理恵さん、田中玲さん。
韓国の看護婦・ヒョンジョンが、職場で定められた“妊娠の順番”を無視してしまったことで、周囲からプレッシャーをかけられ苦しむ『私の番』。日本でも最近、似たようなニュースがありましたが、本作は韓国で起こった10年ほど前の出来事がベースになっているそうです。この痛ましい事件の記憶を風化させないために、もう一度この問題を考えたいとの思いで制作されたといいます。
『TEZUTSU -炎華の街-』は、愛知県豊橋市で、毎年7月の3週目に開催される手筒花火を追ったドキュメンタリー。竹で作った筒に火薬を詰めて、花火師ではなく町内の人々の手だけで花火を打ち上げる伝統行事です。
花火の準備をする2〜3ヵ月間、定期的に現地に通って撮影したという伊納達也監督は、毎年行われるこの行事が、地域の人々をつなげ、新しいコミュニティーを形成するきっかけとなっていると感じたそうです。
「Cinematic Tokyo プログラム」
クールでカワイイだけじゃない!“東京のさまざまな顔”が映し出されるこのプログラムでは、なんと6作品からゲストが登場!皆さんの写真とともに、コメントをご紹介します。
「アジア インターナショナル&ジャパン プログラム 5」
心霊スポットでスマホをかざすと除霊できるというスマホアプリ。そのアプリを使って遊んでいた若者たちが、やがて恐怖のどん底へと引きずり込まれるホラー作品『PHANTOM COLLECTOR』。
見るからに“出そう”な雰囲気があったロケ地は、一ヶ月後に取り壊しが決まっていた病院をたまたま見つけたとのこと。たかひろや監督が、意外にもホラーを観るのが苦手だというお話や、主演の亀田七海さんが、廃墟での撮影時に体験した“ゾッとした出来事”など、それぞれ裏話を語ってくれました。
成人向けコンテンツを中心に活躍する女優・川上奈々美に密着した『女優 川上奈々美』。ラブホテルのオーナーからPR映像を作って欲しいと依頼を受けた左近圭太郎監督は、この作品の主演は、川上奈々美さんしかいないと思いオファーしたといいます。
劇中映画の撮影シーン、川上さんへのインタビュー、過去の再現ドラマで構成された本作ですが、実はインタビューシーンにもシナリオの部分と、本音で答えた部分があったなど、虚実織り混ぜながらつくられた作品であることを明かしてくれました。川上さんが歌う主題歌のレコーディングも含めて、撮影には4日間かかったそうです。
2017年avex digital AWARD受賞企画を映像化した作品『ブレイカーズ』は、現代社会の矛盾に挑む、高校生たちの戦いと友情を描いた濱田龍臣主演の青春ドラマ。後藤美波監督は、過労死などネガティブなニュースが多い日本社会に対して、自分なりに何かしたいと考えてこの物語を作ったといいます。撮影初日は、20年来の大雪日でエキストラが来られないなどのアクシデントがあったそうですが、『ブレイカーズ』のチームさながら、スタッフ・キャストの協力で乗り越えたそうです。
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いかがでしたか?
プログラムが終わった後も、ロビーでフィルムメーカーたちと交流できるのもSSFF & ASIAの醍醐味。この日も、作品についての感想を伝えたり、記念撮影をしたり、作品のDVDやポストカードなどのプレゼントをもらったりと、”お祭り”を楽しむ皆さんで溢れていました。ぜひ、あなたもこの”熱”を体感しにきてくださいネ。
written and photo by チバアキフミ